eスポーツ関連事業を展開するGLOEと介護業界向けの業務DXソリューションを提供するウェルモは、2025年1月27日、高齢者通所介護施設(デイサービス)においてゲームを活用した認知症予防の実証実験を2025年春よりスタートすることを公表しました。
両社は、介護業界のDX化促進と高齢者の社会的孤立防止を目的に、各社が有する「ゲーム」と「介護」のノウハウを融合させた新たな取り組みをスタートするようです。
検証内容
国内の高齢化は世界でも類を見ないスピードで進行しています。総務省統計局の発表によると、2024年9月時点での高齢者人口は3,625万人、高齢化率は29.3%で過去最高を記録しています。2025年以降は1日あたり約130人が新たに認知症を発症すると予測されており、2050年には高齢者の5人に1人が認知症になると推計されているそう。
こうした状況に対し、厚労省は介護予防サービスの場でのフレイル(加齢による心身機能の低下)対策を推奨。しかし、デイサービス事業者の約半数が赤字運営であり、高齢者のフレイル予防に取り組める環境の存続に暗雲が立ち込めているようです。また、デイサービスを利用する高齢者の約70%は、施設滞在時間を除いて他者とのコミュニケーションがほとんどないという課題もあるとのこと。
2025年春からスタートする実証実験では、リハビリテーション特化型デイサービスのプログラムにゲームを導入し、以下の効果を検証するようです。
・定量的に利用者の認知機能・運動機能の変化がみられるか
・利用者の行動変化やデイサービスへの参加意欲に変化がみられるか
・ゲームプログラム導入とデイサービススタッフの業務量の変化について
・ゲームの結果が、高齢者の身体的・精神的変化をモニタリングできる手段として活用できるかどうか
ゲームに期待すること

ゲームは、これまでの運動や脳トレに加え、エンターテインメントとしての楽しみや達成感、協力や競争といった社会的交流の場を創出できるところに関心が寄せられています。また、インターネット環境の整備により、自宅にいる独居高齢者もオンラインで参加できるようになり、デイサービスのない日でも社会的孤立を防ぐことが可能になるようです。
実証実験はウェルモの研究開発室に所属する理学療法士が主導し、外部研究機関と共同で進めるといいます。将来的には「ゲーミング特化型デイサービス」の運営も視野に入れ、シニア世代だけでなく多世代交流のきっかけ作りも目指しているそうです。
両社はこれから、従来のゲームコンテンツを活用するのみならず、高齢者が自発的に取り組め、介護現場が導入しやすい新しいゲームやレクリエーションの開発も予定しているそう。さらに、外部研究機関と共同で「ゲームと介護」を主題とした競争的研究費の獲得を目指し、科学的根拠に基づいたプログラムとして日本各地の介護施設への展開を構想しているようです。
ウェルモ代表者のコメント
ウェルモの鹿野佑介代表取締役は、「高齢者が見たことのあるゲームをきっかけにして、これまで誰かに促されて参加していた方が、自ら外出しデイサービスに出向き、そこで新しい友人を作る。そうした、デイサービスを入口とした新たな世界を高齢者に届けるため、私たちが作り上げてきた介護プラットフォームとノウハウを最大限に活かして、科学的介護の根拠となる実例をGLOE様とともに作り上げることを目指す」とコメントしていました。
GLOE代表者のコメント
GLOEの谷田優也代表取締役は、次のようにコメントしていました。
「ファミリーコンピュータが発売されてから40年が経過し、ゲームで遊んだことのある高齢者が増えていく中、ゲームがもたらすたくさんの選択肢に高齢者が楽しみながら元気でいられるということが考えられると思っている」と期待を示していたようです。
参考
GLOEについて
会社名:GLOE株式会社
代表者:谷田優也
URL:https://gloe.jp/
ウェルモについて
会社名:株式会社ウェルモ
代表者:鹿野佑介
URL:https://welmo.co.jp/
コメント