建機の遠隔操作にゲームをする人のスキルを活かせないかと、建設業界からeスポーツ選手やゲーマーたちへの期待が高まっているそう。千葉房総技能センターと一般社団法人運輸デジタルビジネス協議会が10月に行った「e建機チャレンジ大会」もそういった動きの1つのようです。
e建機チャレンジ大会とは
産経新聞の記事によれば、「e建機チャレンジ大会」は監督と2人のオペレーターで構成された3人組のチームで、東京・六本木にある六本木グランドタワーの1室に設置されたモニターを見ながら、建機を遠隔操作しそのタイムを競うというもの。モニターは千葉県にある千葉房総技能センターに繋がっており、重機訓練場に準備された無人のダンプカーとパワーショベルを操作したといいます。大会には、プロeスポーツ選手や大学のeスポーツサークルに所属する学生なども招かれました。
このようなイベントが開催されるバックグラウンドには、慢性的な若手技能者不足の解消に繋げたいという想いが含まれているといいます。
eスポーツ選手によるジョイスティックなどゲームコントローラーの高い操作スキルが、クレーンや油圧ショベルといった建設機械の遠隔操作に活かせるのではないかと期待されているようです。
同大会は競技形式ではあるものの、遠隔操縦建機の社会実装化、災害救助・復旧サポートのポシビリティーへの挑戦や、競技結果次第で行政組織に向けての提案へ繋げるそう。また、企業による防災・建設関連の自社技術、製品などの紹介を目的としていたようです。
イベント後、大会のスポンサー各社は「eスポーツ選手のスキルは建設機械の遠隔操作に活かせることを確認できた」と声を揃えたといいます。
eスポーツチーム関係者からは、「こんなに簡単に重機を動かせるのだと感動した。重機を遠隔で動かす能力を買ってくれるなら実際に働きたいと思う」との声もあったようです。ゲームをする側からしても、選手のセカンドキャリアや隠れた才能を発揮する場となることに期待できるのではないでしょうか。
今後の課題
建設機械を動かすためには、労働安全衛生法による運転技能講習を修了しなければなりません。さらに、遠隔操作についてのルールや適切な講習も整備されておらず、制度やルール周りがはっきりしていないという課題が残っています。
国交省や厚労省などは、すでに建設機械を安全に遠隔操作するためのルールの確立や、新たな資格作りの検討に入っているとのことです。
11月21日には、国交省による遠隔施行の実演会「施行DXチャレンジ2022」が行われるなど、建設業界とeスポーツの関りは更なる発展を見せています。建設業界にとっては、子どもたちの憧れの職業となったeスポーツの起用によって重労働のイメージを払拭し若手技術者を確保する礎として、eスポーツ選手にとっては新たなスキルの役立て方として、両者の繋がりへの期待は高まっていくことでしょう。
参考
一般社団法人運輸デジタルビジネス協議会について
団体名:一般社団法人運輸デジタルビジネス協議会
代表者:小島 薫
URL:https://unyu.co/
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